皆様こんにちは!トレーナーの喜多です!
前回に引き続き、「膝の痛み」についてお話ししていこうと思います!
さて、
「膝のお皿の下が痛い…」
「膝を伸ばしきると、お皿の下あたりに痛みが出る」
「歩いていると膝の前側が気になる」
このような症状がある場合、「膝蓋下脂肪体(しつがいかしぼうたい)」という組織が関係している可能性があります。
膝の痛みというと、「軟骨がすり減っている」「半月板が悪い」といったイメージを持つ方も多いかもしれません。
しかし膝には、骨や軟骨だけでなく、靱帯・腱・半月板・滑膜・脂肪体など、さまざまな組織が存在します。
その中でも今回紹介する膝蓋下脂肪体は、膝のお皿の下に位置し、神経や血管が豊富な組織です。
そのため、炎症や圧迫などの刺激によって、膝の前側の痛みに関係することがあります。
今回は、
「膝蓋下脂肪体とは何なのか?」 「なぜ脂肪なのに痛みを感じるのか?」 「なぜ膝を伸ばすと痛くなることがあるのか?」
について、理学療法士が身体の構造から分かりやすく解説します。
膝蓋下脂肪体とは?どこにある組織?
膝蓋下脂肪体とは、その名前の通り膝蓋骨(膝のお皿)の下に存在する脂肪組織です。
「Hoffa(ホッファ)脂肪体」と呼ばれることもあります。
位置としては、膝のお皿から脛骨へ伸びている膝蓋腱の後方にあり、膝関節の前方部分を埋めるように存在しています。
しかし、ただの「脂肪の塊」ではありません。
「膝の関節の隙間を埋めているもの」これが脂肪帯で、
形、触感は鶏皮みたいにぷにぷにしている感じです。笑
膝蓋下脂肪帯は潤滑作用やクッションの役割があるとされています。
なので、膝を曲げたり伸ばしたりすると、関節内部のスペースや骨の位置関係が変化し、
それに合わせて膝蓋下脂肪体も形を変えながら動き、膝関節の動きに適応する組織です。
つまり、正常な膝の動きには、脂肪体が柔軟に変形・移動できることが重要なのです。

なぜ膝蓋下脂肪体が痛みの原因になるの?
「脂肪なのに、なんで痛いの?」
と思いますよね。
実は膝蓋下脂肪体には、神経や血管が豊富に存在しています。
そのため、激しい運動や日常生活での膝のストレスで、炎症が起きたり、繰り返し圧迫されたりすることで、痛みに関係する可能性があります。
つまり、炎症が長引くことで血管が増え、痛みに敏感になってしまうということです。
膝を伸ばすとお皿の下が痛いのはなぜ?
膝蓋下脂肪体に関連する痛みでは、膝を伸ばしたとき、特に伸ばしきる付近で膝の前側に痛みを感じることがあります。
脂肪体は非常に柔軟性が大切な組織です。
日々のオーバーワークで炎症が起き、腫れて柔軟性が乏しくなっている状態は、膝を伸ばした時に圧迫してしまいます。
これにより、膝関節では膝蓋骨と脛骨で挟み込まれているわけです。
この骨と骨で組織が挟み込まれることを「インピンジメント」と言います。 ※肩関節に特に多い
また、この膝蓋下脂肪体が炎症を起こしている状態を膝蓋下脂肪体炎「Hoffa病」と言います。
膝蓋下脂肪体は「動く」ことが大切
膝蓋下脂肪体を考えるうえで重要なのが、先にお伝えしたとおり、柔軟に形を変えられる組織であるということです。
膝は歩く、立つ、しゃがむ、階段を上るなど、日常生活の中で何度も曲げ伸ばしを繰り返します。
そのたびに脂肪体も膝関節内部の変化に合わせて形を変えています。
しかし、炎症や手術・外傷後などによって周囲組織との癒着や線維化が生じると、その動きが制限される場合があります。
すると、膝関節を動かした際に特定の部分へ負担が集中しやすくなる可能性があります。
そのため、膝の前側の痛みを評価するときには、単純に「筋肉が硬い」「筋力が弱い」だけではなく、膝蓋骨や周辺組織がどのように動いているのかを見ることも大切です。
膝の前側が痛いときは「膝だけ」を見ない
ここは非常に重要です。
膝に痛みがあると、どうしても膝だけに原因があると思ってしまいます。
しかし、歩行・スクワット・階段昇降などでは、股関節・膝関節・足関節が連動して動いています。
例えば、
股関節をうまく使えていない
足首の動きが制限されている
足部が安定していない
スクワット時に膝へ負担が集中している
といった身体の使い方によって、結果的に膝周囲への負担が大きくなることもあります。
だからこそ重要なのは、
「膝のどこが痛いのか?」だけではなく、「なぜそこに負担がかかっているのか?」まで考えることです。
膝蓋下脂肪体はマッサージすればいい?
インターネットやSNSでは、
「脂肪体をほぐせば膝の痛みが改善する」
「お皿の下をマッサージしましょう」
といった情報を目にすることがあります。
しかし、痛みがある場所を自己判断で強く揉むことはおすすめできません。
膝の前側が痛くても、その原因が膝蓋下脂肪体とは限らないからです。
また、炎症が起きている場合には、強い刺激を加えることで症状が悪化する可能性もあります。
まずは、
いつ痛いのか? どの動作で痛いのか? どの場所に痛みが出るのか?
を確認することが大切です。
熱感がある場合は患部を冷やすことをお勧めいたします。
まとめ|膝のお皿の下の痛みには「膝蓋下脂肪体」が関係している可能性がある。
膝のお皿の下や前側に痛みがある場合、膝蓋下脂肪体が関係している可能性があります。
膝蓋下脂肪体は、膝のお皿の下に存在する脂肪組織で、膝の曲げ伸ばしに合わせて形を変化させています。
また、神経や血管が豊富なため、炎症や圧迫などの刺激によって痛みに関係することがあります。
ただし、膝の前側の痛みにはさまざまな原因が考えられるため、「お皿の下が痛い=膝蓋下脂肪体」と決めつけることはできません。
そして膝への負担を考える際には、膝だけを見るのではなく、股関節や足関節、姿勢、身体全体の使い方まで確認することが重要です。
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※本記事は身体の構造や運動について一般的な情報を提供するものであり、特定の疾患の診断・治療を目的としたものではありません。痛みや腫れなどの症状が続く場合は、医療機関へご相談ください。
【参考文献】
1.小栢進也:変形性膝関節症患者における膝蓋下脂肪体による痛みの評価と治療.運動器理学療法学,2025,5(1):1-2.
2.和田太成,鈴木啓介,黒澤和生:膝関節浅屈曲位での膝蓋下脂肪体の変形.理学療法科学,2020,35(3):341-345.